構成失行とは?その評価方法や具体的なリハビリ方法とは?
◆ 構成失行とは??
昔は「構成失行」と呼ばれていましたが、現在では「構成障害」と呼ばれることが多いです。
構成失行とはいわゆる三次元での構成ができなくなってしまう症状です。三次元とは空間的という意味なので、空間的な構成や配列が困難になってしまいます。
例えば、積み木を積んだり、立方体の絵を写したりできなくなります。
◆ 構成失行の病巣とは??
構成失行の病巣は左または右の頭頂葉後方にあるといわれています。
頭頂葉後方とは上頭頂葉小葉と下頭頂葉を合わせた部分のことです(下図参照)。
ただし、左半球(通常は優位半球)が障害されたときと右半球(通常は劣位半球)が障害されたときでは若干出現する症状が変わってきます。
図形模写のときに左半球の障害では主に「細部の模写」が困難になります。
対して右半球の障害では主に「全体的な把握や構成」が困難になります。
よく、左脳は「理論や理屈」で右脳は「感覚やイメージ」を司っているといわれますが、これが密接に関係しているのです。
◆ 構成失行の評価方法とは??
構成失行の評価法には以下の4つが有名です。
- 図形模写試験
- マッチ棒による図形構成
- コース立体組み合わせテスト
- WAIS-R成人知能検査
図形模写試験
立方体をはじめとした様々な形の図形を模写させて、きれいに模写できるのかを確認します。
マッチ棒による図形構成
図のようにマッチ棒を使って様々な図形を作ってもらい、確認します。
コース立方体組み合わせテスト
このテストは1辺3cm の木製立方体を組み合わせて難易度順に置かれた 17 種類の模様を作っていく課題を行って確認します。
完成するまでの時間と完成度を測定して知能指数を算出します。
このテストの特徴として、ブローカ失語やウェルニッケ失語など表出や理解が困難な患者に対しても行えることです。
このテストだけで知能指数を完全に測定することは難しいですが、ある程度の解決能力や判断力を調べることはできます。
引用:SACCESS・BELL
WAIS-Ⅲ 成人知能検査
ウェクスラー知能検査の成人バージョンです。少し前までは WAIS-R 成人知能検査だったのですが、改訂されて WAIS-Ⅲ 成人知能検査になったので、今はそちらの方が主流になってます。
これはいわば「脳トレゲーム」のようなもので、記号を覚えたり、ひらがなと数字を順番通りに覚えたり、積み木を見本通りに組み立てたり、、などなど。
基本的に臨床心理士と1対1で約2時間ほどみっちりとするみたいです。
引用:日本文化科学社
◆ 構成失行のリハビリ方法とは??
構成失行が出現した場合、日常生活上では以下のような場面が見受けられます。
- 怖がってベッド端を掴んで離さない。
- 車椅子−ベッド間移乗のときに怖がる。
- 少しの段差を大きくまたいでしまう。
- 階段昇降が困難になる。
空間的な配置や構成がわからなくなるので、このような症状が出現してしまうのです。構成失行のリハビリでは「捕捉課題」において即時効果があると報告があります。
捕捉課題とは以下の3つのことです。
- 紐で吊るしたボールを前に投げて戻ってきたボールをキャッチ(課題1)
- 1m間隔でセラピストと向き合って 20cm 程度のゴムボールでキャッチボール(課題2)
- 20cm 程度のゴムボールを頭上に投げてキャッチ(課題3)
Fig. 課題1
Fig. 課題2
Fig. 課題3
これら3種類のキャッチボールを各 20 回行うと構成失行の改善に即時効果が認められたと報告されています。即時的な効果改善を求める場合、単純な反復練習や運動だけでは足らず「捕捉運動」による複雑課題を行うことが良いとされています。
◆ 今日のリハゴリ倶楽部
- 構成失行とは、空間的な構成や配列が困難になってしまう高次脳機能障害のこと。
- 簡便な構成失行の評価には図形模写試験やマッチ棒による図形構成がよく用いられる。
- 構成失行のリハビリでは、「捕捉課題」が有用とされていて、即時効果がある。