不安定狭心症とは?ACS概念や不安定プラークとは?
◆ 不安定狭心症の概要
心臓を栄養する冠動脈の中に不安定プラークが動脈硬化などの影響により作られ、この不安定プラークが破綻することで血栓が形成されて急激に冠動脈が狭窄して心筋虚血に至る疾患です。
重症な狭心症であり、心筋梗塞への移行や突然死のリスクがあるため早急な対応が必要になってきます。
◆ 不安定狭心症のメカニズム
不安定プラークとは血管内膜と外膜の間にコレステロールなどが入り込んで非常に柔らかく破綻しやすいものです。破綻すると血栓を形成して、血管の狭窄・閉塞が急速に進行してしまいます。
大動脈のような太い動脈では、このプラークが血管を狭窄することはないのですが、冠動脈のような中型動脈では内腔の狭窄を引き起こします。
それとは逆に「安定プラーク」もあります。
安定プラークはアテロームが硬くなった状態のことで、破綻しにくくなっているのですが、内腔の狭小化によって血管を狭窄してしまいます。
この両者の違いは線維性被膜の肥厚程度です。
不安定プラークの場合、線維性被膜は薄いので少しの刺激でも破綻しやすいのです。
◆ 狭心症が増悪して心筋梗塞ではない
従来の考え方では動脈硬化が進行することで労作性狭心症を発症、そして最終的には急性心筋梗塞に陥るという流れが考えられていました。
しかし、発生機序の解明によって、急性冠症候群(ACS)という概念が作られ、労作性狭心症と急性心筋梗塞はそれぞれ独立しているものと考えられるようになりました。
◆ 急性冠症候群(ACS)の概要
前述した不安定プラークが破綻して、そこに血栓が作られていき、血管が狭窄・閉塞する疾患のことです。
血栓が血管を狭窄して閉塞まではしていない場合には不安定狭心症、完全に閉塞してしまった場合を急性心筋梗塞と考えられています。
◆ 不安定狭心症の臨床症状
- 労作時・安静時の前胸部痛
- 胸骨後部の胸痛
- 下顎、頸部への放散痛
- 左肩もしくは両肩への放散痛
- 心窩部痛
時間としては長く、だいたい数分~20分程度の胸痛が出現します。
◆ 不安定狭心症の治療法
発作時には他の狭心症と変わらず硝酸薬(ニトログリセリン)を舌下投与します。
心筋梗塞のリスクが低い場合には、
- アスピリン(抗血小板薬)
- ヘパリン(抗凝固薬)
- β-遮断薬
- Ca拮抗薬
- スタチン
心筋梗塞のリスクが高い場合には、冠動脈造影により経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行を判断します。
PCIが困難であれば、冠動脈バイパス術(CABG)を実施することもあります。
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