ゲルストマン症候群とは?評価やリハビリの方法とは?
今回は、頭頂葉の障害によって出現するゲルストマン症候群に関して詳しく記載していきたいと思います。
◆ ゲルストマン症候群とは??
主に左角回の障害によって、手指失認・左右失認・失算・失書の4兆候を呈する症状のことです。左半球の障害ですが、症状は両側に出現します。
手指失認とは自身の指が何指なのかが分からないので、「親指を出して」と言われてもその指を出せなくなります。
左右失認とは左右の区別がつかなくなる状態のことです。なので、左手で左足を触るようなことができなくなります。
失算とは計算ができなくなるだけではなくて、数字を読むことや書くこともできなくなる状態のことです。
失書とは文字が書けなくなる状態のことです。文字を写す(写字)よりも自発的に文字を書くことの方が困難になります。
◆ ゲルストマン症候群の評価方法とは??
認知症の評価にもっともよく使われている「MMSE:Mini-mental state examination」である程度代用できます。
失算は「Serial 7」で、失書は「図形模写」と「書字作文」で評価します。
左右失認は「図形模写」や「書字作文」の評価の際に、患者が右利きなのであれば右手でペンを持っているかどうかを観察して評価します。
また、「右手を挙げてください」などの単純命令と「右手で左足を触ってください」などの二重命令がありますが、どちらが障害されているのかも加えて評価すると良いでしょう。
手指失認はテストが終わった後にでも「親指はどれですか」や「今触っている指は何指ですか」と1つ2つ質問をするだけでカバーできます。
◆ ゲルストマン症候群のリハビリは??
失書に関して、まずは「ひらがな」から書く練習を始めます。文字をなぞり、それができたら写字したり、そして最後には見本なしで書けるよう練習を進めていきます。ひらがなができれば同じ順番で漢字も練習していきます。
失算に関して、数字を頭の中でイメージできるような練習をしていきます。例えば、「1の次は2、5の次は6」や「1と4を足すと5」「5から3を引いて2」など。簡単な課題でも頭の中でイメージすることが難しいのであれば、視覚的代償を用いて練習します。
例えば、ペンを5本並べて置いて、そこから3個ペンを取れば2本になるように見て分かるところから始めていきます。
手指失認や左右失認に関しては、繰り返し課題を与える反復学習が効果的だといわれています。「親指はどれですか?」「右手を挙げてください」など簡単な課題を与えてはフィードバックをして学習していきます。単純課題の正解率が上がってこれば二重課題や複雑課題などの練習をして学習していきます。
日常生活動作練習においても簡単かつ単純な動作を反復的に練習してもらい、複雑な動作を遂行していくという流れが重要になってきます。
つまり、「爪切りを使えるようになりたい」という願望があれば、爪切りを単純かつ危険度の低いものに置き換えて練習していきます。
爪切りの場合は洗濯バサミなどに置き換えて、つまんで離して、つまんで離しての練習が必要になるのです。
◆ 今日のリハゴリ倶楽部
- ゲルストマン症候群では根治療法がないため、症状全てを改善させることは難しい。
- ゲルストマン症候群の評価には「MMSE」がある。
- 対症療法や支持療法など組み合わせて、患者様が日常生活に復帰できるにはどうすれば良いのかをしっかり考えてアプローチしていくことが大切である。