脳画像の読影がとても楽しくなる!側頭葉の各局在を同定する方法
この記事では側頭葉の各局在を水平断画像で診る方法について記載しています。
そのほかの大脳皮質各局在を水平断画像で同定する方法について詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。
◆ 側頭葉とは??
側頭葉(Temporal lobe)は、主に聴覚や言語、高次の視覚を司る領域になります。側頭葉はシルビウス裂(外側溝)を介して前頭葉および頭頂葉と接しています。
◆ 側頭葉に存在する脳回とは??
側頭葉は以下の6つの脳回に分けられます。
- 横側頭回
- 上側頭回
- 中側頭回
- 下側頭回
- 紡錘状回
- 海馬傍回
◆ 側頭葉の種類とは??
側頭葉は大きく4つに分けることができます。
一次聴覚野とは?
一次聴覚野は耳から入ってきた聴覚情報を「音」として認識する役割をもっています。つまり、一次聴覚野が障害されると、「音」を「音」として認識できなくなります。
例えば、電話がなっているのにも関わらず、「音」として認識できないため、電話に出れなくなったりします。
ウェルニッケ野とは?
ウェルニッケ野は感覚性言語中枢とも呼ばれていて、聞いた言葉を理解する役割があります。つまり、ウェルニッケ野が障害されると、話すことはできますが、内容は意味不明になります。
例えば、 「家はどこですか?」と尋ねても、「ペットボトルの中に入ってるのはいい天気だよね」などと質問とも全く関係なければ、内容も意味不明なことを言ってしまいます。
聴覚周辺野とは?
聴覚周辺野は聴覚連合野とも呼ばれていて、一次聴覚野で受け取った聴覚情報を過去の記憶と照らし合わせて、その聴覚情報は何なのかを理解する役割があります。
つまり、聴覚周辺野が障害されると、「聞いた音」が何なのかわからなくなってしまいます。
例えば、電話が鳴っていても、その音が「電話の音」として認識できなくなってしまいます。
側頭連合野とは?
側頭連合野は視覚情報をもとにそれが何なのか識別するための機能を果たしていたり、記憶や高次の聴覚情報処理といった役割を担っています。
つまり、側頭連合野が障害されると、物体失認や相貌失認といった症状が出現します。
では、それぞれのMRI上での見かたについてお伝えしていきたいと思います。
◆ 一次聴覚野の見つけ方とは?
一次聴覚野(Primary auditory cortex)は、側頭葉の上側頭回、横側頭回に位置していて、ブロードマンの脳地図では41・42野の領域を占めています。
つまり、上側頭回を見つけることが重要になります。
上側頭回の見つけ方
側頭葉の脳回を見つける際、上側頭回・中側頭回・下側頭回・紡錘状回・海馬傍回をまとめて探すことがポイントになります。
側脳室下角レベルにおける側頭葉の脳回は、下図のような配置になっています。
外側の前方から上側頭回と中側頭回、後端に下側頭回、内側の前方から海馬傍回、その後方に紡錘状回が位置しています。
このような位置なので、簡単に覚えることができそうですが、さらにイメージしやすくするため、「指」を使って覚えていきます。
指を下図のようにすると、側頭葉の脳回のような形になります。
この場合、示指が上側頭回、母指が中側頭回、小指が下側頭回、環指が紡錘状回、中指が海馬傍回となります。
ぜひ、みなさんも指を使って側頭葉脳回の位置を見つけてください。
◆ ウェルニッケ野の見つけかた
ウェルニッケ野は、優位半球の上側頭回後部に位置していて、ブロードマンの脳地図では左22野の領域を占めています。
ウェルニッケ野を見つける時には、「外側溝後枝」に着目します。
なぜなら、外側溝後枝の後下方に、上側頭回後部が位置しているためです。
外側溝後枝は下図のように島の後外側へ出ている脳溝になります。
外側溝後枝を見つけたら、その後方に位置するのがウェルニッケ野になります。
ブローカー野の見つけ方と併せて覚えるほうが理解が深まりますので、関連記事もご覧ください。
◆ 今日のリハゴリ倶楽部